◆スタッフ◆

製作………………ネクストワン

提供…………XcesFilm

脚本・監督……………工藤雅典

撮影……………井上明夫

照明……………小川満

編集……………渋谷陽一

音楽…………………たつのすけ

助監督……………高田宝重

スチール……………MAYA

録音……………シネキャビン

現像……………東映ラボテック

◆キャスト◆

若林夏子…………星野あかり

土屋美津江…………酒井あずさ

三浦紗季…………美咲レイラ

津田健一…………那波隆史

大場洋介…………深澤和明

阿部邦彦…………平川直大

◆解説◆

夏になると女の肌が恋しくなる。ギラギラと照りつける太陽。しっとりと汗で湿る肌。考えるだけで股間が疼く。しかし、初対面の女性にいきなり抱きついたら犯罪になってしまう。そこで、自分のかみさんに抱きついても、これと云って興奮もなければ感動もない。では『愛人をつくるぞ!』と思っても、中々出来ないのが世の常だ。

そこで、今回の『夏の愛人おいしい男の作り方』でも、涼しい映画館でご覧になれば、心と身体の不満が一気に解消します。

主演は『お掃除女子至れり尽くり』でナイスなバディを披露した、星野あかり。二作目とあって監督との息もぴったり。大胆かつ繊細に主人公の夏子を演じきった。

監督は工藤雅典がお贈り致します。

◆ストーリー◆

ある中堅出版社一室。誰もいない廊下に、かすかに女のあえぎ声が漏れている。半裸にされた事務員の若林夏子の尻をかかえ、後ろから腰を動かす編集者の大場。乱暴で自分勝手な大場のセックス。それでも何かにすがるように、大場にしがみつく夏子。夏子の中で、一方的に果てる大場。

夏子「大場さん、お仕事一段落したんでしょ。今度の日曜日、港に行かない。何か美味しいものを食べて、遊覧船に乗って…」大場「ダメダメ、日曜は家庭サービスなんだ。カミサンこの頃、疑り深くて。感づかれたら、こんな関係続けられなくなるぞ。君の為でもあるんだからな」そそくさと部屋を出る大場。残されて、うなだれる夏子。

応接室に津田。津田の前で、一人の若い編集者・阿部が、津田の持ち込んだ原稿に目を通している。そこへ入って来る大場。大場「遅くなりました。津田さんお久しぶりです」津田「ああ、しばらく」大場「何年ぶりですか?津田さんの新作は皆が期待してましたよ」

出版社。応接室前の廊下。大場「では、次の出版会議で検討しますので」津田「よろしく頼むよ」小さく頭を下げ去っていく津田。大場、その後姿を見送ると、態度をひょう変させ、大場「こんな、古くさいの、商売になるかよ」阿部「え、そうですか?けっこう面白いじゃないですか」大場「お前の目は節穴か?そんなセンスじゃ、編集者失格だぞ!」阿部「はあ…」大場「しかし、みじめなもんだな。デビューの頃は賞も取り、飛ぶ鳥を落とす勢いだった小説家だぜ。俺なんかが、原稿依頼しても鼻もひっかけなかった奴が、今じゃ自分で原稿を持って出版社巡りとは」あざ笑う大場。

数日後、津田の部屋。机に向かい、七転八倒しながら新しい小説を書いている。そこへ、大場からの電話。持ち込まれた原稿の出版は無理との返事。電話を切り、拳を握りしめる。

出版社で大場から原稿を津田に返すようにと頼まれる夏子。渋々承知し、津田の家に向う。原稿を渡し、帰ろうとする夏子を居酒屋に誘う津田。

居酒屋で酒を飲む二人。頑張ってお洒落をしてきた夏子には少し場違いな店。津田「へえ、そうか君はあの出版社の人か…」夏子「ただの事務員です。でも、本は大好きですよ…」まるで、学生の初デートのようにぎこちなく、とりとめのない話しをする二人。今書いている小説の構想を問われ、口ごもる津田。しかし、ボソボソ話しだす。その言葉には瑞々しい小説への熱意が伝わって来る。徐々に津田に惹かれる夏子。酔いつぶれた夏子を家に送る津田。

夏子の部屋。黙ってコーヒーを飲む二人。突然の停電。手探りでロウソクに火をつける夏子と津田。夏子「こんな時に停電なんて…」津田「しかたないさ、電力不足なんだから」夏子「そうね」ため息をつく夏子。津田「…じゃあ、そろそろ帰るかな」夏子「電車、動いてないわよ」津田「タクシーを拾うよ」

夏子「信号も消えてるわ」津田「…」夏子「一人じゃ怖いの」津田に抱きつく夏子。ろうそくの灯火の中、最初のセックスをする二人。

それから、津田は夏子の部屋に通うようになる。人生の苦渋をぶつけるような津田の荒々しいセックス。命を燃やすようにして受け止める夏子。徐々に津田の荒れた心は癒されて行く。

事務室。自分の荷物を片付けている夏子。やって来る大場。大場「おい、夏子!辞表を出したんだって!」夏子「はい」大場「どうしてなんだ、俺への当てつけか?」夏子「いいえ。そんなんじゃ無いんです。ただ、自分に正直になりたくて…」大場「どういう意味だよ。俺は、お前を失いたくない。これからも、つき合ってくれるよな」無理矢理、口づけしようとする大場。夏子「やめて!」大場を睨みつける夏子。たじろぐ大場。

津田を出版者の若い編集員・阿部が訪ねてくる。居酒屋で酒を酌み交わす二人。阿部は自分が会社を説得するので、新しいタイプの恋愛小説を書いてみないかと提案する。

再び小説を書き始めた津田。仕事に打ち込み始めると、毎日のように会いたがる夏子の存在が煩わしくなってくる。

津田の部屋を訪ねて来る夏子。部屋で打ち合わせ中の津田と阿部。阿部「あれっ、夏子さんだよね」驚く阿部。津田「そうか、夏子も同じ出版社に勤めていたんだったね」夏子「お久しぶりです」はにかんで会釈する夏子。

津田の部屋。打ち合わせが終って帰る阿部を津田と夏子が見送っている。阿部「先生、後一息です。ぜったい、ベストセラーにしましょうね!」津田「ああ、がんばるよ」まぶしそうに二人を見る夏子。頭を下げ、帰って行く阿部。道の曲がり角に立っている大場。大場、阿倍の肩をポンと叩く。大場「おい阿部、抜け駆けか?」阿部「先輩、そんなんじゃ…」大場の視線の先には手を繋いで部屋に入って行く津田と夏子。

ある日、夏子はこの夏の思い出に港を巡る遊覧船に乗りたいと言う。夏子を抱く間も小説に思いを巡らし、上の空で約束する津田。

阿部と打ち合わせ中の津田。白熱する議論。津田は夏子との約束をすっぽかしてしまう。

遊覧船の船着き場で津田を待つ夏子。待ち合わせの時間はとうに過ぎ、最後の遊覧船が出航して行く。帰ろうとする夏子。その時、大場がやって来る。

数日後、夏子の部屋を訪れる津田。いつものようにセックスをしようとする津田に、突然別れを切り出す夏子。津田「一度くらい約束をすっぽかしたからってなんだ!お前の為に俺はどれだけ時間を使ったか分かっているのか!」津田は、散々に夏子を罵り部屋を出て行く。夏子は大場に津田の本を出版させる代わりに津田と分かれるように言われていた。なんとしても津田の作品を世に出したい夏子は、津田と分かれる決心をしたのだ。津田が部屋を出た後、満面の笑みで大場がやって来る。大場「今まで通り、夏子は俺のモノだ」夏子を抱き寄せる大場。

翌週。津田の部屋。小説を書き終え、阿部に原稿を手渡す津田。久々に充実感を味わっていた。ポケットに夏子の部屋の鍵がある事に気づく。津田はむしょうに夏子に会いたくなったが…。