女囚房 獣のように激しく

2010年公開

◆スタッフ◆

製作:フィルムハウス/提供:Xces Film/脚本:国見岳志 1999年『女囚房 獣のように激しく』より/監督:勝利一/撮影:松尾研一/照明:白石宏明/編集:金子尚樹/助監督:高田亮:古賀正敏:村上宣敬/スチール:本田あきら/ヘアメイク:小川幸美/録音:シネキャビン/現像:東映ラボテック/

◆キャスト◆

藤浦智江:かとうみゆき/藤原いずみ:里見瑶/石田辰子:佐々木基子/根岸カオリ:篠原さゆり/北原栗子:扇まや/島下功一:山内健嗣/明石三郎:岡田謙一郎/山神勤:坂本大地/刑事A:熊本輝生

◆解説◆

 囚人番号259番。

 これが『脱げる女社長かとうみゆき』に与えられた役柄だ。

 高校3年の時に、TVドラマ『毎度おさわがせします』でデビューし、日活ロマンポルノの人気女優として活躍。映画『ラストキャバレー』でにっかつロマン大賞・新人女優賞の栄冠を手にしたが一時休業。我々ファンにとって長すぎる充電期間ではあったが、約一年前に女優であり、プロダクションの社長という肩書きで復帰した。そして、ようやく映画界にも『脱げる女社長かとうみゆき』が誕生した。

 そして、多彩な才能を生かしメンタルケアスペシャリストの資格を持つ彼女は、女性誌などで色々な悩みの相談にものっている。女性にとっても馴染みある『かとうみゆき』という一人の女性なのだ。

 身長153・B83・W57・H83と、小柄な体のその奥で「今、裸は芸術として市民権を得ているが、女として裸が求められることは悪い事じゃない」「何でも思っているだけではダメ、一つ一つ形にしてほしい」と語る。

 そして、裸になることも、自分の生き方にもプライドを感じさせられる彼女の人生には、一風変ってはいるが憧れを感じている人も多いのでは?

 艶技もさる事ながら、昔の面影を残しつつ熟女への道程を歩き始めた。そんな彼女が極悪犯罪に手を染める映画『女囚房 獣のように激しく!』権利と欲望に侵された世界で、囚人達の生活を勝利一監督が描く!乞御期待

◆ストーリー◆

 山間部の空き別荘で激しく相手を求め合う男と女。ベッドには一万円札が散乱している。

 その別荘の周りを刑事たちが取り囲んでいた。一斉に踏み込む。

 裸の男はゴロつきの島本巧一。枕の下から拳銃を出し、その女の後頭部に突き付ける。なす術もなく島本の言う通り刑事たちは拳銃を放した。その途端、女はドスを抜き明石巡査部長に向かっていた。「逃げて」女は覚悟を決めて島本を逃がしたのだった。 手錠をはめられて護送される女、藤浦智江。彼女の懲役刑が確定して、女刑務所に留置される。

 刑務官から身体検査を受ける智江。素っ裸になり、アソコの中から尻の穴まで検査され囚人服に着替える。

 雑居房に入れられる智江。そこには二人の囚人がいた。部屋の主は詐欺師の常習犯マムシの辰子。売春、万引きでパクられたセンター街のカオリ。

 辰子は智江が挨拶もせずに座り込んだのでムッとして、皮肉たっぷりに罵るが、無視され更に逆上する。

 消灯時間になり灯りが消える。寝静まった雑居房で色々と考えごとをしている智江。と、辰子とカオリの吐息が聞こえてくる。男がいない女刑務所内ではレズ行為が繰り広げられるのだ。

 翌朝、館内の掃除をする辰子たち。智江も黙々とモップを掛ける。

 智江が気に入らない辰子たち。智江に嫌がらせをしては看守の北原栗子に訴える。栗子は智江をきつく叱り懲罰房に送るのだ。 辰子たちの嫌がらせは段々エスカレートしていく。運動場の草むしりをさせられる囚人たち。看守の目を盗んでは官舎の影に智江を連れていきそこでボコボコにする。

 いつものように朝の掃除をしているとカオリだけが所長室に呼ばれた。カオリは出所間近で何の問題もなければ予定通り出所できる。そこに付け込んで所長の山神は気にいった囚人に卑猥な行為を繰り返していた。カオリは喜んで山神を迎え入れる。

 数か月後智江に面会人が来る。妹のいずみと智江に刺された刑事の明石。彼は命を取り止めて元気になっていた。智江に更生してもらいたいため親身になって気を遣っていた。しかし、島本とは何の関係もないとツッパる智江。妹のいずみは母親の容体が思わしくなく入院が必要だという。しかし、いずみにはそんなお金などなく智江が隠している3億円のありかを教えろというものだった。

 深夜、いずみから母親の容体を聞かされた智江は、母親のことと、いずみの胸元に光っているシルバーのネックレスが気になってなかなか寝付けないでいる。そのネックレスは智江が島本にプレゼントしたものなのだ。

 その横では辰子とカオリがレズっている。カオリのあそこを責めまくりもうすぐ裟婆に出るカオリと、残り少ない夜を今のうちに楽しんでいるのだ。

 所長室に北原に連れてこられる辰子。辰子は刑務所所長の山神に、智江が何をして刑務所に入れられたのか聞く。元都市銀行職員。愛人島本巧一の架空会社に、コンピューターの端末を操作して三十億円振り込んだ。業務上横領罪及び、逮捕時に明石三朗巡査部長をナイフで刺したため殺人未遂の両容疑で起訴されたと聞き恐れ入れる。辰子もまた山神に弄ばれ裟婆への復帰を願う一人だった。そんな辰子に山神は横領した3億円を捜し出すように命じる。

 その夜、辰子とカオリは3億円の在処を押さえようと、智江をリンチにかける二人からの強制愛撫、仕打ちなどのどんな惨いリンチにもめげず一向に口を割らない智江であった。

 北原に呼び出され3億円の在処を白状しろと警棒で殴られる。一江。

 ここでは、善人の顔をした悪人どもの自由の世界が広がっているのだ。一向に白状せず、懲罰房に入れられる智江度重なるリンチと、拷問に耐えながら二年の月日が流れた。

 山神に再び呼ばれ、3億円の在処と智江の恩赦を交換しろと言う。ここで私に逆らうと一生ここから出られないと言う山神。そして、智江の体に襲いかかる。

 しかし、智江は救われた。そこにはその様子をじっと見ていた男がいた。その男は智江が刺した明石刑事だった。

 数か月後、智江は恩赦を受け出所した。出所日には妹のいずみが迎えにきた。3億円を掘りに行くためにスコップと島本を車のトランクに持参して…。

 いずみはやっとの思いでジェラルミンケースを掘り出し、島本が智江をスコップで殴りかかろうとしたその時、そこで待っていたものは明石刑事たちによる逮捕だった。3億円に目が眩み、おとり捜査にまんまとひっ掛かったのだ。ジュラルミンケースの中身が破綻した銀行の有価証券とも知らずに…。

 智江と明石刑事は刑事たちが二人を連行したあと、さらに穴をスコップで掘り探る。穴からはもう一つジュラルミンケースが現れた。それこそが、真の3億円入りのジュラルミンケースだった。「何が幸いするかわからないもんだ」と、不敵に笑みを浮かべる二人だった。

 智江は、二年分の欲求不満を埋めるがごとく、万札に埋もれながら明石刑事を雌カマキリのように貧るのであった。